【集中連載】事業再構築補助金 第1回公募採択発表分析 -その3-

 前回前々回から続く事業再構築補助金第1回公募の採択結果発表について、
今回は卒業枠グローバルV字回復枠を見ていき、更に他の枠も含めての総括となります。

 

卒業枠 採択概要

・応募者数:80件
・要件合致:69件
・採択者数:45件

・有効採択率 65.21%(45/69)

・採択計画一覧 https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/result/tsujyo_gaiyo01.pdf
(通常枠とひとまとめのシート)

 
  「現在中小企業かつ、5年以内に中堅企業に成長すること」「補助金支給額が6,000万円を超えること」 という条件がついてあることもあってか、申請数が非常に少なくなっています(通常枠の0.47%)。ただ、そういった申請要件の厳しさ故か、しっかり要件を満たした申請者の採択率は高くなっています。
 また、全ての案件が6,000万円~1億円支給となりますので、最低でも6,000万円×45件=27億円、最高で1億×45件=45億が卒業枠に振り分けられていることになります。第1回の全体での採択補助対象額が2,200億円ということを踏まえると、額としては少額であり、枠ごとに特定の上限が設定されている可能性は低そうです。

 

グローバルV字回復枠 採択概要

・応募者数:2件
・要件合致:1件
・採択者数:1件

・有効採択率 100%(1/1)

・採択計画一覧 https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/result/tsujyo_gaiyo01.pdf
(通常枠とひとまとめのシート)

 
 グローバルV字回復枠は条件が非常に厳しいので、当然と言えば当然という結果になりました。大まかに書くと「中堅企業かつ、事業全体の売上・需要などが 50%以上海外に係る要因となる計画 」という要件を満たさないといけませんので、海外展開を意識しにくい現状では特に、申請者が殆ど見られないのは仕方のないことと言えます。
 ちなみに、唯一要件を満たして採択された企業は「健康商品・化粧品の通信販売をしており」「中国市場に向けた、消費者ニーズを満たす新商品展開をしてマーケット市場を獲得する」という内容でした。 「通販」「中国市場」というのは確かに現状でも条件を満たしやすい要素 であり、妥当な申請内容だったと考えられます。

 

採択の傾向と今後の対策について

 ここからは実際に採択された申請の傾向を元に、事業再構築補助金に採択されやすい申請内容とはどのような物なのかを分析していきます。
 弊社で申請を支援させていただいた企業様の採択傾向を見ていくと、以下のような傾向がありました。

  • コロナ禍との強い関連性
  • 加点項目の適用
  • 既存事業の活用

 

 まず一つ目の「コロナ禍との強い関連性」ですが、これは ポジティブでもネガティブでも重要 になります。「コロナ禍で売上が大きく落ち込んでいる」「コロナ禍での新しい生活様式に適した事業計画」といった、 「コロナ禍の中だからこそ行われる事業計画」 という点が大きな意味を持ちます。
 補助金の目的・概要に「新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために~」とあり、審査項目に「既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスの影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか」「新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えて V 字回復を達成するために有効な投資内容となっているか」という項目もあるため、当然といえば当然かもしれません。

 

 二つ目の「加点項目の適用」については、具体的には「令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、2021 年 1 月~6 月のいずれかの月の売上高が対前年(又は対前々年)同月比で 30%以上減少していること」(期間は2次公募時のもの)という加点項目が対象となります。内容としては「緊急事態宣言特別枠」の要件と同一のものですので、特別枠で申請される場合は自然と加点項目を満たしていることになり、特別枠の申請においては採択の優劣には影響しません。一方、通常枠においてはこの加点項目を満たしている申請の採択率が高い傾向が見られました。特別枠での採択率が高い推測(経営状況が厳しくなっている企業には支援が必要)及び前述の審査項目(新型コロナウイルスの影響により事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか)も踏まえると、 この加点項目が採択の際に大きな加点材料になっている と考えられます。
 なお、この加点項目ですが、特別枠と要件内容が同じであり、その特別枠が第2回公募で終了予定と考えると第3回公募以降は削除または変更される可能性も0ではないので、お気を付けください。

 

 三つ目の「既存事業の活用」「既存事業で培った資産(技術や人員、取引先など)を活かせる内容かどうか」という点です。おおよそ事業転換を推奨し、新規性を重要視している補助金ですが、既存事業とまったく関係のない物を始めるのではなく、何かを活かせる形である新規事業が良い計画として判断されるようです。こちらも審査項目に存在しており、「補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか」という内容で、 『既存事業を活かすことで効果的に(素早く)事業を建て直せるか』 を見られています。補助金額が高いのもあって、国としても「支援の効果が確実に見られる事業に投資したい」、という所なのでしょう。

 
 
 以上、ここまで採択傾向を紹介していきましたが――お気づきいただけたでしょうか。 「対策が必要とされることは、どれも審査項目に書かれている内容 なのです。つまり、審査項目を一つ一つ満たしていくことで自ずと採択率は上がっていくというシンプルな結論です。全ての項目を抑えるのは難しいかもしれませんが、 一つでも多くの審査項目を網羅すればそれだけ採択されやすくなる ため、計画作成時には是非とも審査項目をご確認いただければと思います。
 審査項目の内容は公募要領もしくは抜粋した資料をご覧ください。
審査項目抜粋