【集中連載】事業再構築補助金 第1回公募採択発表分析 -その1-

 先日、事業再構築補助金 第1回公募の採択結果が発表されました
(6月16日に緊急事態宣言特別枠が、6月18日に残る3枠が採択発表)

 今回はそれぞれの枠ごとで採択発表内容を確認しながら、どのような傾向があるのか、また事業再構築補助金全体を通して注意したいことを分析します。
 まずは最初に発表された緊急事態宣言特別枠からです。

 

緊急事態宣言特別枠 採択概要

・応募者数:5,181件
・要件合致:4,326件
・採択者数:2,866件

・有効採択率 66.25%(2,866/4,326)

・採択計画一覧 https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/result/tokubetsu_gaiyo01.pdf

 

 審査された案件の 採択率が50%を超えてほぼ2/3が採択されている というのは、かなり高い値に見えます。ただ、『緊急事態宣言特別枠』は補助金額が最大でも1,500万円(従業員数21人以上の場合)ということから、通常枠よりも審査が緩かった可能性が考えられます。また、特別枠の申請条件を満たしている企業は経営状況が厳しくなっているはずですので、支援が必要と判断される案件も多かったのかもしれません。

 

申請要件の遵守について

 そして注目したいのが、要件合致――申請要件を満たした申請の件数が発表されていることです。他の補助金ではあまりこういった数字は発表されないのでデータだけでも興味深いですが、その割合の値もまた目を惹く数値となっています。4,326/5,181≒約83.5%が申請要件を満たした申請の割合となりますが、逆に言うと残る 16.5%は申請要件が不十分だった ことになります。これには事業再構築補助金の要件、特に緊急事態宣言特別枠は追加要件もあるため、様々な要因が推測されます。
 

  1. 資料の準備不足や情報漏れで、意図せず要件不足になってしまっていた可能性
  2. 「相当程度の新規性が感じられない」と判断され、正式な審査まで進まなかった可能性
  3. その他売上高目標関係の要件などを正しく記載できていなかった可能性

 

 事務局から『よくある申請時の不備』という物が発表されているため、基本的には1.のように「ルール(公募要領)を守れていなかった」申請が多かったのだと推察できます。ただ、補助金申請全般の傾向・流れを踏まえると2.の「新規性がない」と判断されて要件不足となったパターンも多いのではと考えられます。
 今までの補助金申請でもあった問題ですが、「申請内容において、ルール上、発生する経費が補助対象ではあるが、 計画の中に『新規性』『革新性』という要素が見受けられないため補助金支給に値しない 」という判断が生じることがあります。既存の物では『ものづくり補助金』が顕著で、不採択理由の根拠として度々「設備の入替に過ぎず革新性がない」「競合でもやっていて新規性がない」という趣旨のコメントが返ってきます。ものづくり補助金ではこういった案件も一律「不採択」という扱いでしたが、『事業再構築補助金』ではわざわざ「要件を満たした・満たしていない」で前捌きしていることを公表しているため、まず新規性要件が妥当かどうかで線引きしている可能性は充分にあり得ます。

 この可否は数値で判断できないため、審査員の匙加減で決まってしまう恐れがあります。例えば「飲食店が新たにそろばん教室を開講する」といった、誰がどう見ても新しいことに挑戦する内容でしたら気を付ける心配も無いのですが、事業転換や業態転換のように根本的な異業種への参入ではない場合、書き方次第で新規性が不足と判断される可能性が出てきます。
 対策としては、 なるべく詳しく既存事業との違いを説明しつつ、一方で両事業で同じ要素はあまり説明を強調しない ことでしょうか。1から10まで説明した結果、似通った部分が並んでしまうと、かえって悪印象になってしまいますので、明け透けな言い方となりますが『申請者・申請内容が良く見える』ように文章を書いて、違いを説明をするのが良いでしょう。