【集中連載】事業再構築補助金 要件とNG編2

事業再構築要件とよくあるNG

 前回に引き続き、事業再構築要件を見ていきます。前回ピックアップした『市場の新規性要件』『製造方法等の新規性要件』も含めて、全種類をおさらいしたいと思います。

製品等(製品・商品等)の新規性要件市場の新規性要件売上高10%要件売上高構成比要件製造方法等の新規性要件設備撤去等要件組織再編要件その他の事業再構築要件
[要件定義] 
1.過去に製造等した実績がないこと
2.製造等に用いる主要な設備を変更すること
3.定量的に性能又は効能が異なること
[必要とされる種別] 新分野展開・事業転換・業種転換
[要件定義] 既存製品等と新製品等の代替性が低いこと
[必要とされる種別] 新分野展開・事業転換・業種転換
[要件定義] 新たな製品等の(又は製造方法等の)売上高が総売上高の10%以上となること
[必要とされる種別] 新分野展開・業態転換
[要件定義] 新たな製品等の属する事業(又は業種)が売上高構成比の最も高い事業(又は業種)となること
[必要とされる種別] 事業転換・業種転換
[要件定義] 
1.過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと
2.新たな製造方法等に用いる主要な設備を変更すること、
3.定量的に性能又は効能が異なること
[必要とされる種別] 業態転換
[要件定義] 既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うもの
[必要とされる種別] 業態転換(必要な場合のみ)
[要件定義] 「合併」、「会社分割」、「株式交換」、「株式移転」、「事業譲渡」等を行うこと
[必要とされる種別] 事業再編
[要件定義] 「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」又は「業態転換」のいずれかを行うこと
[必要とされる種別] 事業再編

 この中で確認しておきたいのは、売上高10%要件・売上高構成比要件でしょうか。これらも前回取り上げた【付加価値額要件】と同じく、 事業計画期間終了時に目標達成している『計画を策定する』こと となっており、実際に達成する必要はありません。もちろん、実際に達成できそうな納得いく計画を策定するのが一番ですが、未達時に交付取り消しなどは現時点で制度になっていないため、あまり心配はいらないでしょう。

 他の要件も、定数での目標達成が必須条件となっているものは少なく、言ってしまえば「書き方次第で要件を満たせる」内容が殆どです。全体を通して気を付けなければいけないのは、やはり  「新規事業を行う=過去に実績のない事業」 という大原則を満たすことでしょう。

 

その他のNGになりやすい要件

 ここからは少し細かい内容でのNG例を紹介します。

1つ目はみなし大企業についてです。
 みなし大企業は他の補助金でも出てくる概念ですが、大雑把に言うと 「大企業グループの分社・子会社は、単独での会社規模が中小企業級であっても大企業扱いにする」 という考え方です。
 具体的には以下のいずれかを満たすとみなし大企業となります(大企業自体の基準は「資本金10億円以上」。それ未満は中堅企業判定となるため)。

  • 1.発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者
  • 2.発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
  • 3.大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
  • 4.発行済株式の総数又は出資価格の総額を1.~3.に該当する中小企業者が所有している中小企業者
  • 5. 1.~3.に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業者
  • 6.応募申請時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者

 キーとなるのは 株式の保有状況、役員の構成 です。特に役員は出向という形で大企業(親会社)の社員が名を連ねることも多いので、意外と陥りやすいのではないでしょうか。このみなし大企業、引っかかる要因は様々ですが、弊社の案件でも度々発覚し、計画書を作成している段階で初めて申請不可だと気づいた場合もあります。事業再構築補助金は中堅企業でも申請可能ですので、他の補助金よりもNGにはなりにくいですが、申請準備を進める前に、まず確認していただきたい案件です。

 
もう一つNG要件として挙げておきたいのが、不採択になる要件として挙げられている
 「専ら資産運用的性格の強い事業」 というものです。
これは不動産賃貸のような、所謂「事業者は場所を貸すだけ」というような物は補助金対象外になる、というルールです。NGの線引きとして、実際にコールセンターに確認してみたところ、以下のような回答をもらえました。

 [NG] 
  • 不動産賃貸(他の要件でもアウト)
  • 太陽光発電での売電事業
  • 契約駐車場
  • フリースペースのみの提供
    (コワーキングスペース事業はOKなので、提供する環境の付加価値次第)
 [OK] 
  • コインランドリー
  • コワーキングスペース

 太陽光発電などは他の補助金でも対象外とされがちなので妥当な判定ですが、スペース提供の線引きは少し難しい所ですね。コワーキングスペースは明確にOKとなっているので、提供する、 「場所というサービス」その物にどこまで付加価値が付いているか が争点になるようです。そういう意味で、例えば会議室やレンタルスペース事業はかなりグレーになるかと思います。計画書の中で、魅力ある(付加価値ある)サービスを提供できることを記載できれば、採択の芽は出るのではないでしょうか。
 また、「コインランドリー事業はNGになるのでは」という予想は認定支援機関の中でも見受けられましたが、 現時点では補助対象となる ようです。事業の性質から、完成度の高い計画書を作成しないと採択は難しいとは思いますが、 コインランドリー事業での申請をお考えの方は、安心して申請準備を進めていただければ と思います。

 
 
 以上、事業再構築補助金についての要件解説でした。
 細かい要件まですべてを拾えてはいませんが、「どういう補助金なのか」「どういう企業なら申請できるのか」「どういう状況だと採択されないのか」という要点はお伝え出来たかと思います。
 再三の呼びかけとなってしまいますが、実際に申請する場合は事業再構築補助金のHPを確認いただき、公募要領にも目を通した上で計画書作成にお進みください。

【事業再構築補助金 総合サイト】
【事業再構築補助金 公募要領】
【事業再構築指針の手引き】
 

 次回は、1次締切の採択発表を待つ中での、1次締切の採択率予想を行います。