【集中連載】事業再構築補助金 比較・検討編

事業再構築補助金の短期集中解説の2回目です。
今回は前回の概要解説から掘り下げ、他の補助金と比較を交えながら事業再構築補助金のメリットを中心に解説していきます。

事業再構築補助金の金額的特長

前回触れたように、事業再構築補助金は一番ベーシックな種別でも 補助上限額が6,000万円 (中小企業者の場合)となっており、業種や地域を問わない補助金としては非常に高額です。
以下は近年の各種補助金との金額比較ですが、規模の違いがわかるかと思います。

[table id=5 /] ※1補助対象経費が8000万円を超える場合、8000万円までを1/2、それ以降は1/3で補助率を計算する
例)対象経費が9,500万円の場合、8,000万円分を1/2で、残る1,500万円分は1/3で補助率計算する
⇒4,000万円+500万円=4,500万円が補助支給金額

※2 中小企業30社以上が連携しての合同申請となるため、単純計算で1億円から30社を割ると、1社あたり約330万円が最大上限となる

 

ビジネスモデル構築型の注釈を踏まえて見ると、事業再構築補助金が群を抜いて補助金額が高くなっていますね。
ただ、これにはある程度納得いく背景があって、比較として挙がっている補助金のうち、小規模事業者持続化補助金は小規模事業者(従業員数20名以下、サービス業は5名以下)のみ申請対象者に、IT導入補助金はIT設備(パッケージ化された既成のITツールが原則)のみを申請対象設備としているため、これらは規模に応じた額とも捉えられます。 事業再構築補助金が「中堅企業が建物を建てる費用にも使える補助金」 と考えると、前述の2種の補助金より補助金額が大幅に高いのは自然なことでしょう。
残るものづくり補助金との違いについては、事業再構築補助金は前回触れた『売上が減少している』『新しい事業に取り組む』2点を満たす必要があるため、申請できるハードルがより高いからと考えられます。
前者は対象が限定的だから補助金額が抑えられ、逆に後者は対象が限定的だから補助金額が上がるというのは矛盾しているようですが、前者は『使う用途』が限られているのに対し、後者は『使う素質』に条件を課せられていると推察できます。次の項ではそこをもう少し掘り下げます。

 

事業再構築補助金の申請条件

改めて、先ほどの4つの補助金の申請条件を比較してみます。
※各補助金の全体像同士を比較するため、大まかな基準での記載とします。

事業再構築補助金ものづくり補助金小規模事業者持続化補助金IT導入補助金
[対象申請者] 中小企業者等・中堅企業
[経費対象] 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
[主な申請要件] 1. 2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
2. 新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換又は事業再編のいずれかを行う(いずれも新たに行う事業は新規性を有する事業であること≒初めて行う事業である)
[申請者] 中小企業者等
[経費対象] 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
[主な申請要件] 単価50万円以上の機械装置もしくはシステムを導入する
[申請者] 小規模事業者
[経費対象] 機械装置等費、広報費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、専門家謝金、専門家旅費、設備処分費、委託費、外注費
[主な申請要件] 事業計画が販路開拓等(生産性向上)として認められる計画である
[申請者] 中小企業者等
[経費対象] ITツールのみ
[主な申請要件] IT導入支援事業者により事務局に対して事前に登録された中から、導入するITツールを選択する

実際はそれぞれの補助金で、「従業員の賃金引上げを行う」や「申請時点で補助事業実施場所を有する」、「専門機関と協力する」など細かい申請にまつわる制約はあるのですが、それぞれの主題となる条件は上の要件で問題ないかと思います。
こうして比較すると、事業再構築補助金は全体として申請要件が厳しくなっているのがわかります。これが『使う素質』―― 国が積極的に支援しても良いと判断できる要件 となっている訳です。小規模事業者持続化補助金も「小規模事業者」という限られた事業者しか対象になりませんが、小規模事業者の会社規模で考えると、自然と使う用途が限られるため『素質』というより『用途』で振り分けているIT導入補助金に近い線引きと考えられます。

少し概念的な話になってしまいましたが、大事なのは補助金を調べる時、「どんな補助金で」「どれだけ補助されて」「どんな事業者が」使えるのか、という事を理解することです。その上で、自分の事業計画に適した補助金があれば、積極的に活用していくことが一番となります。事業再構築補助金の高額な補助金額は魅力的ではありますが、要件を満たすために、無理して新しい事業に手を出すのは本末転倒となってしまいます。
 事業再構築補助金は「売上が減少気味で、完全新規事業を考えており」「事業には大きな費用が掛かる予定で」「中小企業または中堅企業」の事業者さんに適した補助金 と言えますので、当てはまりそうな事業者様は是非とも申請を進めていただければと思います。

 

事業再構築補助金の申請時期

2021年6月現在、事業再構築補助金は 2回目の申請募集 を行っており、 申請締切日は7月2日 となっています。この2次締切のあとにも、あと3回ほど申請チャンスがあると発表されていますので、2022年3月末までに、だいたい2か月~2か月半のスパンで実施していくのではないかと想定されます。

◎過去を踏まえた今後のスケジュール予想

  • 1次締切:5月7日
  • 2次締切:7月2日 ←今ココ 
  • 3次締切:9月上旬~中旬?
  • 4次締切:11月中旬?
  • 5次締切:1月中旬~下旬?

なお、国の補助金は要件や補助金額を調整しながら、毎年行う物も多いのですが、 事業再構築補助金はコロナ禍での売上低迷に対する補助金 、という背景で生まれていますので、(ワクチン接種などで対策が進んでいるであろう)来年以降も継続されるかは怪しい所です。ですので、活用をお考えの方は、2次締切を含めた残り4回のうちでの申請をお勧めします。

最後に補足なのですが、補助金は申請して、 採択されて即「補助金支給」とはなりません 。採択後に、主に設備金額を明確にする「交付申請」、計画で示した導入する設備などを導入し、その性能を検証する「実績報告」の完了を経て、ようやく補助金支給となります。
ですので、(「設備発注~導入~検証」に掛かる期間にもよりますが) 申請締切から1年近く掛かってようやく補助金支給 、ということが充分あり得ます。当然、その間に設備などの費用は全て支払わなければなりませんので、スケジュールはもちろん、補助金が支給されるまでの資金繰りにはお気を付けください。

次回は、事業再構築補助金の申請でありがちなNG例を紹介します。